第6章 自覚
ああもう。
やばい。
自分の気持ち自覚した途端にもう、いろいろやばい。
勝手に熱くなった顔を覆った両手をす、て、離す。
賢者タイム的になんだかいきなり冷静になっちゃったじゃん。
ふぅ。
ゆっくり息を吐き出して。
立ち上がる。
その、瞬間。
「みおちゃん」
小さく。
だけど確かに聞こえた声。
キョロキョロと辺りを見渡すけど人通りなんてなくて。
目に留まったのは。
見覚えのある、車。
「え」
ドクン、て。
おっきく跳ねた、心臓。
なんで。
なんで。
「桜月?どーし…………」
「美桜!!」
振り返る蓮の言葉へと重ねる形で、道路向こうへと呼びかけた。
美桜を追いかけるように車から出てきたのは。
良く見知った、人で。
彼が美桜の右腕を掴んだところでふたり、こちらを見た。
「あいつ、なんで…………」
蓮の言葉が届いたのかどうかはわからないけど。
決まり悪そうに視線を外したのは。
橘、さん。
なんで。
なんで橘さんが美桜といるの?
いや。
そんなことはどーでも…………。
ふらふらと道反対へと足を向けたあたしの腕を掴んで、蓮が、引き留める。
真っ直ぐに向けられた蓮の視線の先へと同じく視線を向ければ。
美桜の、見たことない険しい表情。
憎悪。
嫌悪。
敵意。
拒絶。
「…………っ」
思わず、足が止まる。
向けられたことがない感情に戸惑ってる間に、美桜が走り出す。
「…………追いかけらんなかった…………」
あんな、敵意剥き出しの感情向けられて。
足がすくんだ。
当たり前のこと、したくせに。