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桜月夜の、鎖

第5章 嫉妬




「おまえは、なんで肝心なこと最後まで言わねんだよ」
「…………待って!!


ガチャン、て。
ドアを開けて出て行こうとする蓮の腕を思わず掴む。


「美桜はあたしが探すから!!」
「は?」
「ぇ、だって蓮、その足じゃ無理だよ。今日もあたし、蓮の顔見たら探しに行く予定でいたし、いつもそうして…………」
「は?」


ガチャン!!


て。
さっき開けたドアが今度は乱暴に閉められて。
思わず目を閉じた。


「おまえひとりで夜出歩かせるわけねーだろ」
「ぇ」
「つか、何。いつも探してた?ひとりで?」
「…………ぇ」
「何してんのまじ」


ドサ、て。
蓮の頭が。
肩へと凭れて。
重みで一瞬、バランスを崩す。


「…………探すあてとか、あんの」


「…………ない」


「職場は?」
「休むって連絡来たって言われた」
「友達」
「…………美桜の交友関係、良く知らなくて」
「スマホは?」
「病院行ってる時に、財布とスマホ取りに来たって」


はぁ。
って。
ため息ついて。
蓮が玄関へと、寄りかかる。


「…………なら、まぁ」
「何」
「いい大人なんだし、財布とスマホ持ってんならしばらくほっとけば」
「何言ってんの!?さっき蓮も探しに行こうとしてたじゃん」
「…………おまえさ、立場逆ならどー思う」
「何、逆って」
「そのまんまだよ」


身体屈めて、蓮が、あたしを見下ろす。
怒るような。
不機嫌な、目。


逆。
美桜と。
逆?





「ぁ…………」



「…………」




蓮が。
あたしじゃなくて美桜を選んだら。




美桜にだけは。




会いたくない。



蓮と美桜には。
会いたくない。




「…………こればっかは、な」
「ごめん」
「…………いゃ、悪い」
「蓮」


ぎゅう、て。
蓮へと抱きついて。
びっくりした顔で蓮が見下ろす。



「足、痛い?」
「は?いや…………」
「身体は?」
「何」



「…………したい」



「は?」




「退院したら、って、蓮言ってたよ」





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