第5章 嫉妬
そっか。
それで。
姉と弟にしては少し距離を感じた。
あたしと美桜のしるそれとはまた違って見えて。
姉妹とは違う、って、言われたらそれまでなんだけど。
一定の距離を感じるのに、立ち入れないような。
そんな関係に思えた。
「何」
じーって。
無意識に預けた蓮への視線。
訝しげに蓮があたしを見下ろした。
「嫌われなくて良かった」
本心から出た言葉。
今までなんであんなに頑なに蓮の言葉を否定してたのかわからない。
ほんとはもっと早く。
こうやって素直になれてたら。
きっと今、あたしたちの関係も変わっていたかもしれないのに。
「桜月」
ふ、て。
目の前が翳った瞬間。
唇に触れた柔らかい感触。
「!?」
思わずびっくりしたまま右足が一歩、後退する。
蓮の舌が、唇を舐めて。
蓮の。
キスの、合図。
ゆっくりと唇の力を抜けば。
力強く蓮の肉厚な舌先が潜り込んだ。
「ん…………っ」
蓮のキスに押されて、数歩、後退すれば。
背中が玄関へとくっついた。
そのまま蓮の右手がスカートの中、太腿へと触れて。
慌てて唇を、離す。
「待って!!」
「なんで」
…………いや。
なん、で、って。
てゆーか何その拗ねた顔。
え。
待ってかわいいんだけど。
写真撮りたい。
何故だか勝手に体温上がるんですけど。
「…………待ての顔してねーじゃん」
「っ」
首へと顔を埋めて。
再度、蓮の手が腰を撫でた。
のを。
両手で精一杯、距離を取る。
「美桜が、帰って来てないの!!」
思わず肩で息をしながらそう、捲し立て。
蓮からの反応をそー、と。
伺い見る。
「んだよ、それ」
「あ…………」
怒った、かも。
なんて。
杞憂だ。
蓮なら当たり前なのに。
美桜を、本気で心配してる目。