第22章 呪い合い、殺し合い、
領域と領域が重なると2つの領域押し合って精度の高い方に塗り替わる。
私が領域展開した時にどっちが勝つかは分からないし、2人でお互いの領域を削り合ったら敵の思う壺だ。
渋谷で陀艮の領域に閉じ込められた時のことを思い出す。
恵くんが助けに来てくれた時、彼も領域を展開していた。
外から無理やり陀艮の領域の壁を突破して、そして脱出できるような穴を作ってくれて……
ここに何か解決のヒントがある気がする。
何か……
何か、私が応用できることはない?
2つの領域が展開された時に押し合うのは、きっと領域内の空間の広さがそれぞれ異なるから。
どこからどこまでを自分の領域とするか、そのイメージが異なるために空間に歪みが生じて、その結果押し合いが発生しているのだとしたら?
恵くんはあの時、領域の縁を陀艮の領域と合わせていた。
だから脱出口だけは現実空間に接続できたと考えるならば?
……領域の外殻と内部の空間、それらを完全に合わせることができるのなら、領域同士の押し合いは発生しないのでは?
私の領域が彼の領域を侵食しないよう出力は最小限に、
押し合わずに領域を重ねる。
縁を同じにして展開していく……
幸いなことに外殻は体育館の壁、空間のイメージは体育館の内部がそのまま当てはまる。
鬼切を体育館に張られた領域の縁に当て、横一文字に指を滑らせる。
領域展開
―刹那無劫ノ理―