第22章 呪い合い、殺し合い、
黒く広がる影の空間にレジィは瞠目した。
まさか領域展開まで会得している段階の術師だったとは。
しかし彼は受肉まで果たした歴戦の術師、領域の特性は知り尽くしているため、閉じ込められた程度ではその冷静さは崩れなかった。
領域が閉ざされた直後、必中の術式が発動する前に両手を合わせて握り、その拳を振る。
奥義 ―彌虚葛籠(いやこつづら)―
レジィを中心に球体に編まれた呪力の籠が現れた。
『彌虚葛籠』は、シン・陰流『簡易領域』の原型であり、領域を中和し、必中効果を打ち消す性能を持つ。
「残念でした〜」
領域展開で勝負をかけてきたのだろうが、対策済み。
レジィがほくそ笑むと両足首に何かが巻きついてきた。
「なっ……」
足元を見ると4匹のカエルに舌を巻きつけられていた。
きつく固定され、動けない。
いや、それよりも……
何故当たる!?
彌虚葛籠は問題なく発動している。
必中効果を打ち消しているにもかかわらず式神の攻撃が当たった。
予想だにしなかった事態にレジィから余裕の表情が消えた。
「薄ら笑いが消えてるぞ」
「ガキが!!」