第22章 呪い合い、殺し合い、
泣いて助けを求める麗美にさすがのなずなも怪訝に思う。
とても嘘泣きには見えない。
「……あの人達、本当に仲間なんですか?」
それに対しての返答はなかった。
自分のことで精一杯になっている麗美は更に声を大きく、叫ぶようにして助けを求めており、その声は確実に向こうにも届いているはずだが、助けが来る気配もない。
もしかして彼女は騙されている?
でも、どうであれ私が手を緩める理由にはならない。
ここから離れないのなら戦闘不能にする。
気絶させるだけではダメ、いつ起きてくるか分からないから、武器も取り上げておかないと。
髪を硬化させる術式だから……この場合は髪を切ってしまうべきだ。
頭の中で動きをシュミレートしていると、麗美がいきなり座り込んだ。
両手で顔を覆い、しゃくり上げて肩を揺らしている。
寄る辺を失った彼女を不憫に思わなくもなかったが、なずなの中の優先順位は揺らがない。
泣きじゃくる麗美の背中に毅然と告げる。
「警告はしました。その上で従わないなら仕方ないです。女の人の髪を勝手に切っちゃうのは忍びないんですけど……」
ごめんなさい、と心の中で一言謝り、鬼切を振り上げたなずなは麗美の長い黒髪を一息に切り落とし、柄頭で頸を叩いて気絶させた。