第22章 呪い合い、殺し合い、
迫る白刃に麗美は肩をすくめ、頭上で空を切る音が聞こえたと思ったら、すぐ横の木が叩き折られる。
幹は細いが大きな音を立てて倒れていく木を見て血の気が引いた。
「お、お願いだからやめてよぉ!」
「だったら早くここから立ち去ってください」
麗美が涙目で懇願してもとりつく島もない。
足を止めたらやられちゃう……!
なんで?
なんで私がこんな目に遭わなくちゃいけないの?
いきなり結界に閉じ込められて殺し合いをしろって言われて、
今度はここから立ち去れって、逃げろって、
どこに逃げればいいの?
レジィ様から離れたら、私、ここじゃ生きていけない。
分かんない、
分かんないよぉ……!
じわりと涙が出てくる。
「レ、レジィ様ぁ!助けて、私を助けてよぉ!!」
少し離れた場所にいるレジィに懸命に助けを求めるが、その声は届いていないのか、こちらには目もくれない。
「ねぇってば!レジィ様、お願い!」
叫んでもレジィがこちらを向く気配はない。
助けに来てくれるって言ったのに、なんでこっちを向いてくれないの?
私の騎士になって、私を守ってくれるって、
なのにどうして来てくれないの?
膝から力が抜けてその場に座り込んでしまう。
逃げる気力はもうなかった。