• テキストサイズ

妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて








まだ百鬼夜行が行われる前―……


「ねぇ、夏油様、五条悟って何者?超強いんでしょ?」


とあるビルの屋上に椅子を出して、そこに座った夏油の髪を梳きながら奈々子はそう尋ねた。

美々子はぬいぐるみを抱きしめながら、その会話を静かに聞いている。


「んー……親友だったんだ。ケンカしちゃって、それっきり」


夏油は少し考えた後、そう答えて困ったように笑った。


柔らかな声、優しい眼差し、小さい頃はよく頭を撫でてくれた大きな手。

奈々子も美々子も夏油のことが大好きでたまらなかった。


この春の日だまりのような暖かな日々がずっと続いてほしかった。







夏油様を殺した五条悟を私達は一生許さない。


……でもね、これでいいとも思ったの。
だって、五条悟は夏油様のたった1人の親友だから。










次にフラッシュバックしたのは、死亡したはずの彼が訪ねてきた時のこと。


夏油様の頭を割り、そこに居座っている下衆野郎。

ソイツを初めて見た時、腹の底から怒りが湧いたことを覚えている。
その怒りは消えることなくずっと2人の中で燃え盛っている。


一刻も早く夏油様から出て行け。


地獄に落ちろ。

後悔させてやる。








「私達はもう1本の指の在処を知っています。そいつを殺してくれれば、それをお教えします。だから、どうか……」

「面を上げろ」


2人が顔を上げると宿儺がフッと笑う。


そして突然、奈々子の頬に生暖かい液体がかかった。



/ 1233ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp