第20章 10月31日 渋谷にて
……は?
気づくと伏黒は外に引き摺り出されていた。
まず目に入ったのはガラスの割れた駅の窓。
それを見てやっと外に出たことを理解する。
しかし、なぜ外に出たのか頭がついていかなかった。
そうこうしている内に背中を掴んでいた手が離れ、道路に落とされる。
地面に激突する前に受け身をとって起き上がると目の前には侵入者の男が游雲を構えていた。
いつの間にか外に出されていた!?
速いなんてもんじゃない。
下手したら少年院の時の宿儺より……!
何なんだ、コイツは!!
なずなは伸ばしかけて届かなかった手を握り、割れた窓から迷わず一直線に飛び降りた。
「アイツら……っ!」
外に連れ去られた伏黒と脇目も振らずにそれを追いかけていったなずな。
またも急転した事態に真希は舌打ちした。
すぐに後を追おうとして、しかし強大な呪力に動けなくなる。
「逝ったか……陀艮」
燃え尽きようとしている陀艮の傍らにいつの間にか呪霊がいた。
片膝をつき、陀艮を労うように見つめているのは、B5Fから上がってきた漏瑚だ。
新たな特級呪霊の出現、そしてそれが纏う呪力を見て、直毘人は内心冷や汗をかいた。
おいおいおい、冗談だろ?
陀艮という呪霊より……格段に強い!!