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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第20章 10月31日 渋谷にて



傷を癒した陀艮は浅瀬からその様子を観察していた。



やはり、あの男は違う……


他の3人がなす術なく式神に噛みつかれているのに対して、直毘人だけは傷ついていない上にその足元に両断された式神が転がっていた。




直毘人が使ったのは秘伝「落花の情」

これは御三家に伝わる対領域の術。

簡易領域のように自らは領域を展開せず、必中の術式が発動し、触れた瞬間にカウンターで呪力を解放し、身を守るものだ。



だが、それも陀艮が不利になる条件にはならない。


小手調べは済んだ。

力を髭の男7:スーツの男3に調整。


「術式解放」


陀艮が組んだ両手を下に向ける。


「死累累湧軍(シルルユウグン)」



巨大なサメやヤツメウナギ、ウツボといった水棲生物の式神が無数に海から湧き出し、こちらに向かって突き進んでくる。

先程は1匹だけだったのだ。
あんな数に襲われればひとたまりもない。



「真希さん!あれらは真っ直ぐこちらに向かってくるわけではない!次の瞬間には私達の肉を抉っている」

真希となずなが身構える中、七海の鋭い声が飛んできた。

「考えては駄目です。触れられたと感じたら、片っ端から叩き落としてください!ほとんど呪力のないあなたにはそれしか……っ!!」


巨大な魚の式神が七海の胴体に噛みつくとほぼ同時に様々な形の魚が喰らいつく。

魚に殺到され、あっという間に七海の上半身が見えなくなってしまった。


「七海さん!!」



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