第20章 10月31日 渋谷にて
「封印!?」
呪術師最強の名を冠する五条悟の封印。
七海から告げられた内容はにわかには信じられず、真希となずなが驚愕の声を上げた。
声は出さなかったものの、直毘人も瞠目している。
「はい、始めから五条さんの封印が目的だったようです。封印とほぼ同時に3枚の帳が降り、改造人間が一般人を襲い始めました」
「あのタイミングで改造人間が動き出したのはそういうことだったんですね……」
なずなが眉を寄せる。
渋谷駅前の待機命令を受けて約1時間後に何の前触れもなく、一般人を襲い出した改造人間……
まさかあの時に五条が封印されていたなんて予想だにしなかった。
なずなの隣で真希がもうひとつ気になっていたことを尋ねる。
「伊地知さんは?」
「彼は呪詛師に襲われて重傷です。帳の外にいた補助監督の多くは同じ者に殺されていました。呪詛師は排除しましたが、補助監督と窓の連絡網はほとんど機能していません」
そのため猪野、虎杖、伏黒は別行動で術師に五条封印を伝達、七海も伊地知を救護所に運んだ後、野薔薇と新田にこの場所を聞き、駆けつけたという。
「敵はどういうわけか、封印した五条さんをB5Fから動かせないでいます。先程術師を入れない帳は上がったので、我々はこれからB5Fに突入します。真希さんと渡辺さんは一般人を閉じ込める帳が上がり次第、彼らを避難させてください」
ここからの戦いは彼女達には荷が重すぎる。
最もらしい理由をつけて遠ざけようとしたが、真希は断固反対だった。
「私は行きますよ。ここら一帯の改造人間は全滅させたし、一般人の避難ならなずなだけで事足りる」
「わ、私ひとりなんて絶対無理ですよ……!ろ、路頭に迷う自信あります」
「どういう自信ですか」
慌てて首を横に振るなずなの言い分に七海がため息をつく。
ここで時間を浪費するわけにはいかない。