第20章 10月31日 渋谷にて
「赤血操術・血星磊(ケッセイセキ)」
脹相が自分の法衣の袖で虎杖の視界から見えぬように放った血の弾丸は虎杖の腹部を貫通し、床に落ちる。
「……っ!」
傷口から血が止まらない。
急激に冷えていくように感じるのに腹だけは熱した鉄を押し当てているかのように熱い。
飛び道具はもうないと油断した……!
どこをやられた!?
前に腹に穴を空けられた時とは違う。
壊れちゃいけない臓器が壊れた!!
負ける……
死―……
恐怖に塗り潰されていく思考。
自分の死を間近感じるのはこれで二度目だ。
……だがもうあの時とは違う。
両足を踏み締める。
今、理解した
俺の役割―
恐怖を呪力へ変え、雑念を振り払う。
伏黒が、釘崎が、渡辺が、
ナナミンが、
先輩達も皆、ここを通って五条先生の所へ行けるように―……
死んでもコイツを戦闘不能にする。
口からも血が溢れ出てくるが、自分が止まる理由にはならない。
五条先生を助けるのは俺じゃなくていい。