第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と
幸いにも捕まえた村人がライターを持っていたため、無断で拝借し、火を起こしても大丈夫そうな場所に小枝を集めてくる。
「ちょっと虎杖、なんで松ぼっくりなんて拾ってきてんの、遊びじゃないのよ?」
「真面目にやってるって。松ぼっくりって油が多いから火をつけやすいんだって前にテレビで言ってたからさ」
虎杖が山型に組んだ小枝の根元に松ぼっくりを置く様子に伏黒は少し目を丸くする。
「オマエって意外と雑学あるよな」
「“意外”は余計じゃない!?確かに俺、勉強はできねーけど……」
「じゃあ“意外”で合ってるわよ」
2人からの指摘に虎杖はしょぼんと肩を落とした。
そんな虎杖を横目に、伏黒がライターを使って火をつける。
虎杖の言う通り、特に苦労せず着火し、少し待つと赤々と燃えてきた。
あまりいい気はしなかったが、焚き火に“しゃれこうべ”を投げ入れる。
すると間もなくピシリと亀裂が入った。
「おっ!いけるんじゃね」
「よし、じゃあやるわよ!」
金槌を構えた野薔薇がすかさずその亀裂に五寸釘を打ち込んだ。
「芻霊呪法・共鳴り!!」