第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と
伏黒との通話が切れた後、虎杖の隣で会話を聞いていた野薔薇が不満を露わにした。
「伏黒、またなずなを取り残したの!?」
情報交換した時と同じような状況だ。
おそらく何かしら事情があってのことだと推測はつくが、それでも何か手段はなかったのかと伏黒を責める気持ちを抑えられない。
あの野郎、と毒づく野薔薇を虎杖は宥める。
「まあまあ、多分伏黒もどうしようもない事情があったんだろ。協力してやろうぜ」
「当ったり前じゃない!なずなが危ないんでしょ。さっさとぶっ壊すわよ!」
野薔薇は肩を怒らせながら“しゃれこうべ”の祠へ続く道をズンズン進んでいってしまう。
なんだかんだきちんとやる気を出している姿に虎杖も苦笑し、後をついていった。
「トドメは私が刺す、いいわね?」
「なんで?」
「伏黒の話からすると、呪霊は“しゃれこうべ”と深く繋がっているはずだから、共鳴りで破壊すれば呪霊の方にもダメージが入るし、なずなにも知らせられるからよ」
なるほど。
確かにそちらの方が効率的だ。
「オッケー、じゃあトドメは頼んだ」
「伏黒が追いつく前にぶっ壊して、なずなを助けるわよ」
「おう!」
2人は早速しゃれこうべがある祠へ走り出した。