第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と
「村の連中はバカだよねぇ!ボクがイケニエを選んで魂を白くしているのに、まんまとそれを差し出してくるんだから!」
その言葉になずなは瞠目した。
生贄の子が寝たきりなのは先天的なものではなく、白稚児がマーキングした中から選んだ子供をそのように変えていたのか。
「あなたの仕業だったの!?」
「そうだよぉ、村の連中はそれに気づいてる。その上でボクにイケニエを捧げてくるんだ。イケニエもそのままだと動けないから喜んで肉殻を捨てて白い魂として出てくる」
そうしてボクは強くなるの!
一層声高に笑う白稚児。
その様子に唇を噛むなずなは、うねりを上げて迫り来る重い呪力をいなすことしかできない。
まずい。
これで動けなくなったら、さっきのように肉体を捨てろと迫られる。
いつまでもそれに抵抗できないかもしれないし、下手すると白稚児を外に逃してしまうかもしれない。
動ける内にこの歌を止めるしかない……!
なずなは災いあれと歌う幼子達を見つめる。
ごめんね……
今から私のやることは許されないこと。
私のことを呪ってもいい。
あなた達にはその権利がある。