第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と
こちらの攻撃が効かないのなら、白稚児の祓除は諦めるしかない。
それより生贄の子に肉体を捨てるの止めさせて、なんとしてもここから出さなければ……!
どうやってこの結界を出るのか?
なずなには見当すらつかなかったが、それでも白い幼子が群がる生贄の子の元に走る。
生贄の子を引き離すために抱えようとするが、重すぎてびくともしない。
この空間では体感のみならず、実際に肉体は重くなるらしい。
なずなが苦心する間にも幼子達の白い手が伸びてくる。
「やめてっ!!」
これ以上生贄の子に触れさせまいと咄嗟に鬼切を振り抜く。
白稚児と違い、こちらには鬼切が届いた。
……届いてしまった。
その刃は無慈悲に彼らの細腕を切り落とす。
―いっ、いたぁぁああいっ!!―
―ああっ、うでが!うでがなくなっちゃった!―
泣き叫ぶ幼子達になずなは色を失くす。
「っ!?」
「ヒドイねぇ?」
白稚児は楽しそうにくすくすと笑い、なずなの両肩に手を置いた。
泣く子供から目を背けるなと言わんばかりに。
その状態で白稚児はなずなの耳元で囁く。
「この子達はねぇ、今までのイケニエだよ。さっきオマエが助けようとしたのと同じ。動けず話せず、イケニエの役目を押し付けられた可哀想な子供達」