• テキストサイズ

妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と



白い月と静かな風になびく穂草、その上を白い蝶が飛んでいる。

村の神社とは全く異なる景色。


ここが白稚児の結界の中……?




相変わらず全身が重く、指1本動かせない状態だが、視界はハッキリとしているし、思考も鈍っていない。

身動きできないなずなが見ているのは、生贄の子とその周りに集まる6、7人の白い幼子達。

幼子達は皆白装束を着ており、黒髪と対照的な真っ白な肌をしている。
白稚児とは容姿が全く違うし、呪力も感じない。


……何より生贄の子と同じ化粧をしていた。





そんな幼子達が生贄の子の背中をさすっている。


―あたらしい おともだち―

―はやく でておいで―

―こわくないよ?さぁ わたしたちとあそびましょ―


「ぁああっ!」


「……っ!?」



生贄の子が返事をするように声を上げると、その背中にピシリと亀裂が入った。


なずなは思わず息を呑む。


亀裂はどんどん大きくなり、やがてぱっくりと開いてしまうが、血は1滴も出ていない。

そして、割れた背中から白い何かがゆっくりと迫り上がってきていた。


鳥の雛が卵から出てくるように、
あるいは蝶が蛹から出てくるように。





いけない……!

それ以上はいけない!


何が起こっているのか分からないが、なずなはそう直感する。


その光景に目を奪われるあまり、すぐ背後に別の気配があることにも気づかずに。



/ 1233ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp