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妖刀使いの臆病呪術師【呪術廻戦】

第18章 無垢なる贄と仮初の平穏と



村の外れ、虎杖と野薔薇が伊地知の車で待っていると、ほぼ6時きっかりに伏黒が現れた。


「あれ、伏黒だけ?なずなはどうしたのよ?」

「邪魔が入って渡辺は生贄の所に残ってる。情報交換は手短にしたい」


そう言うと、伏黒は早速生贄の儀式の詳細について話し始めた。


生贄の儀式は今夜10時から村内の神社に設営された舞台で行われること。

生贄を火あぶりにすることで呪霊を呼ぶこと。
火が呪霊を呼び出すトリガーになっていると思われること。

そして、生贄が言葉を話せず、自分では身動きできない子供だということも。



「……エグいな。そんな子供を火あぶりにしなきゃなんねーの?」


虎杖は顔を歪めて心底嫌そうにしている。


「いや、かなり前の儀式では火あぶりにはせずに別のものに火をつけていた。それで呪霊を呼んで、生贄を取り込ませていたんだ」

「なら、生贄が取り込まれる前に祓えばなんとかなる?」

「呪霊を呼ぶまでが鬼門だな。村の連中は生贄を火あぶりにしないと気が済まねぇだろ。別のものに火をつければいいなんて話、通じる訳ねぇよ」

「確かにね、こういう人間って慣習にものすごくこだわるし、村人全員ふん縛るくらいしないとできないかもよ?」


肩をすくめた野薔薇を見て、虎杖はもうお手上げだ。


「八方塞がりじゃん、どうすんの?」

「村の連中全員敵に回る危険はあるけど、生贄が火あぶりになる前に儀式に乱入して、生贄を連れて逃げると同時に別働班が適当な物に火をつけて呪霊を呼び出して祓う……しかねぇと思う」


当初の作戦通り呪霊からできるだけ生贄を引き離して2人1組で動くパターンだ。

できれば呪霊の特性を見てから班を分けたいが、悠長なことは言っていられないかもしれない。



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