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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第40章 悔いのない人生を


あれほど白装束の女達がうじゃうじゃ居て、広かった世界も今じゃ青い着物の私一人になっちゃった。
初代の気持ちはきっと今の私みたいな感じなのかな、と低木になった彼女を向き、その気持ちを聞けないからただ思いを馳せ、最後に取り残された私は意味のないため息をまたひとつ零す。
どうせ、呪力をほぼ使い切った私は溜め込んで死んだ皆よりも簡単にここを去れる。だからこそ、私が消える前にこの最後の領域、"鎹"にお別れを告げる為に。

まばらなススキは多くは既に霧に飲まれ、きっと大地の下の奈落へと先に消えてしまってて、残されたのはいくつかの墓石と棺桶、地面に近い所に咲く母達三姉妹……大きな木と悟までを繋ぐ細長い空間。母達三姉妹は分かるけれど大きな木や薔薇の木は死しても影響が強いんだろうな~…、と歪な形で霧に飲まれるのを拒否してるそれらを見比べた。

初代が愛されたかった人と末代が愛した人が繋がってる大地。私が悟に向ける愛情は強いものだと私自身認めてるけど、それくらいに初代も禪院家であった、父親を愛し愛されたかったんだろうなあ……。

バラの木の側で私はその枯れた青薔薇を触れずに見て愛でる。
この木は、薔薇は、元の形は私の大好きな人。姿は違えど、最期までこの人の側から離れたくない。
……ひとりぼっちじゃないから、今は寂しくはないよ、悟。

『……じゃ、墓じまいの最後の仕上げをしよっか』

悟の側で私は自身を抱くように、僅かに残った呪力を領域下へと解き放っていった……。
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