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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第40章 悔いのない人生を


軽い言葉を交わしあった後に私の手から崩れる人型の魂。形のあった見た目はぐずぐずと地面に落ちきるとそれが変質化して彼岸花が枯れた大地に咲いた。夕日に照らされても血のように真っ赤な彼岸花はすぐに枯れて、隣に生える物となんら違いを感じない。
座っていた母は立ち上がり、数歩離れたそこへ。しゃがんでその枯れた彼岸花を比べるようにして短く笑って。
「どっちが綺麗って、違いなんかねえわ!」と突っ込んでから立ち上がった。

「──じゃ、次は私の番だね!」

この領域内で呪力に縛られ生き続ける死者は私含めてあと二人……。
少しだけ寂しくなるなあ…。そう思いながらも母を後回しになんて出来やしない、私もすぐに追いつくのだし…ひとりになっても、青い薔薇が側にあるから大丈夫。
母の言葉に遅れて私は頷いた。ゆっくりと母の死装束を着た肩に手を触れて、後二回分の仕事に私は取り掛かる……。


────

──


「あんたを死なせること無く生かし、呪術師として生きて貰って後悔は無いよ……あんたを産んで良かった、」

残る呪力はあと少しというところでの最期の言葉。
自身で表情を隠してた布をビッ、と引きちぎって男勝りな笑顔を見せた。
これが、本当の母との別れとなる…。

「……ありがとね、後の仕事、よろしくね!」
『ん、任せて』
「そんじゃあ、バイバイ!あの世で逢えたらあっちの地ビールでも片手に乾杯でもしよっ!」

ははは…、と笑う中でぐずぐずと崩れていく母。最期の言葉がそれで良いんか?と呆れながらも彼女のその笑顔のある顔はツッコむ前に崩れていった。
その私の母が立っていた足元には一度真っ赤なカーネーションが咲き、すぐに枯れて花を着けたままな姿で固定された。母だけにってか…、と私達春日の血を引くものの地獄に咲いた、彩る存在が増えたのは良いけれどそれを愛でる時間なんて無いのは知ってる……。

もう、私以外誰もここには居なくなってしまった…。
辺りを見回した。寂しい世界は不気味で悪い夢を見てるみたい。終わらない悪夢、枯れた大地と霧と沈まない夕日の、精神に来るような一見孤独に感じる世界…──。
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