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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第40章 悔いのない人生を


長男の後に続くのは末の娘。

「もしもお母さんの願う通りに普通にベッドの上で死んだとしても、お父さんとお母さんは逝くトコが違うでしょ?なら、悲しいけれど死んじゃうなら一緒に居られる場所がいいもん。
……死んじゃった後、身体はすぐに回収出来るように、家入さんもあっちで待っていてくれてるし」

蒼空の言葉に鎹が付け足して、子供達の意思の固さを知る。そしてまさかのここでの死後、魂の抜けた身体の行く先も硝子を巻き込んで計画してるって所も……。

『……何、あんた達、硝子さんも巻き込んでるワケ!?』

あの日の悟の死因は肉体がバラバラになる。それを見越してたんだ…?
呆れた、用意周到に死んだ後の処理…そこまで準備してるだなんて。
子供達から悟を見ればにっこりと無邪気な笑みを浮かべてちょっとだけ首を傾げて。「てへっ!」とこの状況なら怒っても構わないようなふざけた声を出してて。
子供達と悟のその覚悟を決めた計画に怒りは少しずつ消えていく。ぱんぱんに膨らんだものから空気が抜けていくような……。

──知ってるよ、そういう周りから固めていく人だって。

付き合ったのもそう。結婚だってそう。悟はいつだって、自身の我儘を通す為に無理をしてでも自分の行きたい方向へと路線を変えていく人だ。
いつまでもいつまでも私だけ彼の死を拒んでも、帰るまで、帰ってもまたここに来てこのやりとりを繰り返す。そんな未来が見えていた。

それでも私が断り続けたとして……。
彼が自然に死ぬかもしくは戦いの中で死んだとして。私はこの世界でひとりぼっちになって死んでいく。そして悟もひとりあっちで死ぬ……。

離れ離れで互いが死ぬよりは、一緒の場所に居られた方が…良いのかな……。

「ハルカ…、」

名前を呼んで追い打ちを掛けてくる悟。
その悟からはもう、逃げ切れる事は出来ないんだと私は分かってる。だからその微笑む顔を後退りせずに見上げた。

「僕の死を、返してよ」

観念するしか、ないんだ。
やっぱり私は悟には勝てない、敵わない。いつだって甘やかしちゃうのは彼のことがとても大好きだから。

──…ふふっ、本当に。本当に最期まで我儘な人だったなあ…。
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