第40章 悔いのない人生を
悲しい表情の悟は申し訳なさそうに眉を下げて…。
「呪霊との戦いでやられたんだ……、僕らの誰もが手を尽くしたかった、助けたかった、生かしたかった…。けれどハルカのように上手くは出来ない。結果、前回ここに来てすぐに長女を、去年に次女が亡くしてしまった……。
僕たちが守るべきだったのに、家族を守るって言ったのに……ハルカがお腹を痛めて生み育てた、残せた血だってのに……守れなくて、ごめん」
──いつかはそういう時が来るとは思っていた。
私でも不便だった、この常に代償がつきまとう術式。メリットの為に縛りのせいで全力で戦えず、そもそも血を繋ぐ女達は戦いには向いちゃいない。
どのような状況で迎えた死なのかを説明していく悟。ここでは一切の情報が遮断されるから、今の現世では呪いと人との大事な戦いになってるなんて、私は知らなくて……。
『はは……、領域展開を出来るだけ使うな、があの子達を死なせた原因なのかなあ……』
もしも私の言葉が危機を脱する機会を逃したのならばその死は私が原因だ。
死んだ、というのにこの領域には私以降、新しい一族が追加されていない事が妙に引っかかる。随分前に死んでいながらに私は新メンバーを見ていない…。
悟は困ったような顔で、少し泣きそうな瞳で笑った。その少し皺の出来た顔を見ればああ、とても良い年の取り方をしてる、と胸に広がる希望が叶えられてる僅かな幸せ。子供達が二人も死んだという事実でぽっかりと空いた胸が悟が生きていてくれるという希望で少し満たされた。
「いいや、ふたりは鎹ほどの実力を持たなかった。そもそも、鎹でもそんな滅多に領域展開が出来ないモンなんだぜ?」
『…ん?』
どういう事…?と首を傾げると私の額に人差し指をとん、と突いてる悟。