第40章 悔いのない人生を
──どれくらいの時期が過ぎていったんだろ。
何度も繰り返せばその過程はより効率よくなっていき、ぎこちなかった作業も少しばかり手間が短縮され、手際よく減っていく領域内の女達の数。
相変わらす日の落ちない世界でオレンジ色に照らされ続ける中で、もうすぐで残り四十人になる、の所での突然の訪問者。それで当てになるかは分からないけれど、また呪力の乾いた空間を満たす感覚に数年は経過してるだろう、くらいに私は感じ取っていた。
乾いた中で潤す呪力はそれが家族との再会の為とは言い切れないけれど(ほら、流石に危険時の領域展開は必要じゃない?命が優先だもの)都合が合わなかったのか、家族の人数はフルメンバーじゃなかった。
数人が欠けてる所を見れば、呪術師は忙しいものね、この日に都合が合わなかったんでしょ、と"今度来た時"を楽しみに、フルメンバーはお預けにして私は迎える為ににこ、と笑って手を広げた。
『いらっしゃい、久しぶり!』
それに対してにこ、と笑う悟や子供達。浮かない顔の子も居る。高専の制服から闇に溶け込めるような黒い服を着ていて、鎹も高専を卒業したのかな、と頭の中でいくつになったのかと予想をしてると、悟はきょろきょろと周囲を見た後に花束を片腕に抱えながら私の肩にそっと手を置いた。
結婚記念日のルーティンを即座に渡した彼は少し寂しそうな声色で声量が落ち着いてる。
「……ハルカ、あのね…。子供が二人、死んじゃったんだ」
『…え、』
ここに来て居ないふたりを思い出し、春日の血を継ぐ女が四人からふたりだけになっている事態に察する。残された子供達の顔をひとりひとりを見た。足りないふたりは長女と次女。そのふたりがこの領域に辿り着けていない、肉体も魂も……。残ってる私の血を引く女は双子の片方、小春と末の子、鎹のふたりだけ。
どうして…なんで。
いろんな思考が巡りながらも肉体無き姿の瞳は涙を流す構造をしてなくて。悟の服を掴みながら彼を見上げる。少し体を屈めたその澄んだ瞳には白い瞳の私が悲しい顔をして映されていた。
『ど、して……?』