第40章 悔いのない人生を
「僕はハルカが大好きだ!いつか、僕もここで死んでいきたいくらいにさ!……そのうち僕の終わりを感じた時は娘に頼んでここに来るよ。そしたら僕は永遠にオマエの傍に居られるだろ…?」
『……ははっ…、病んでるなあ~…』
まさか死んでまでこんなに愛されてるだなんて思ってなかったよ。
新しい人生に歩むチャンスでもあっただろうに。彼ならいくらでもチャンスは作れただろうに。その愛されているって事が嬉しい…!
「病んでないさ、これが正常な五条悟君です!」
自信満々にラーメン屋の店主みたいに仁王立ちして、腕を組んで。うんうん、と頷く悟に『……家系ラーメンの店主か?』とツッコミせざる負えない。
──"また何年かしたら来るよ"……そう言って家族達が帰っていく。
悟や子供達が領域内から消えると共に、花束と薬指に嵌められた指輪もスゥ……と消えていく。
この世界に受け付けられるのは、術者である鎹がここにいる間だけ。僅かな間だけれど胸いっぱいを満たす愛や絆を感じて私は引き続き、私の死後の先祖たちの後始末を続けていく…。
何度も何度も、寝食を必要しない魂の存在での作業はまるで地獄での実刑みたい。
私達春日の宿命を受け継ぐ末代が引き継いでしまった罪は、大好きな家族達に引き継ぎしたくない、と閉じ込められた春日の女達の持つ、呪力を減らして一人、また一人と少しずつ解き放っていく……。