第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
少し前傾姿勢で僕を見るハルカ。そんな事はないと首を振って、ハルカの口に玉子焼きを近づけると彼女は黙って口を開け、それを食べた。
一面を少し焦がした可愛らしい厚焼き玉子。ご飯を美味しそうに食べる奥さんに、まだ固形物を口に出来ない、ママのおっぱいで先に満腹な息子。僕だけの家族がここに揃ってる、幸せな宝箱みたいな空間に笑みも出るわ!
「そんなわけないでしょ~、蒼空だけ育てる、もしくはひとりかふたり増やす程度なら無理してでも時間取って側に居るだろうけど、ハルカの場合は血を多く残さないといけないだろ?
いつも女の子が生まれるとも限らないし、そもそも僕はサッカーチーム作れるくらいの子供を作るって宣言したよね?」
『えほっ、ごほ、』
咽るハルカの声に起こされてふぎゃあ!とエンジンの掛かる泣き声。言葉は分からずともうるさい!気持ち良く寝てたのに!って文句なんでしょ。
息子が泣き出したから箸を適当にチン、と置いて僕は立ち上がり、机の反対側…ハルカの側に駆け寄って蒼空を抱きかかえて揺すった。
あー…必死におぎゃあって泣いててウケる。
ちょっと男梅みたいな顔してるの、以前ハルカのお兄さんに見せてもらった彼女の赤ちゃん時代にそっくり!
「ごめんねー、蒼空~、ママがゴリラになっちゃったね!」
『ゴリラじゃねえよ?誰がドラミングした?うんこも投げて無いし?』
「ちょ、ごはん中にうんこの話題止めてって言い出したのオマエじゃーん、早速言い出しっぺが口にしてどうすんの?」
『……めんご』
口を抑えて早速自爆してるハルカから腕の中の揺する我が子を見た。
子供体温、すっごい温かいねえ。小さな手を指揮者みたいにぶんぶん振って不満を爆発させて!僕の顎にそのもちもちした手が触れて、泣いたまま細い指で必死につかもうとしてる。
そんな中で揺すってとんとんして、たくさんよしよしって声を掛けて。もう一回素直に眠ってくれれば良いんだけどなあ~……?