第37章 繋ぐいのち、五条と春日の鎹
『こら、悟。蒼空だけ撮りなよ?今の私、超疲れてるからヤバイ顔してるの…自覚あるしさあ~……』
言われてみれば疲れ切った顔で写真写りが悪そうな気もする…うんうん、とハルカの言葉に僕は頷いた。
「……ん、そうね。抗争を終わらせたリーダーみたいな顔してるし写真に収めたらスマホが呪物になっちゃうそう」
『あ゙?』
「ごめんて」
うそうそ。
ちゃんと彼女の意思も考えますって。出来る旦那さんで、新米パパだしね。配慮の塊!イエイ、ナイスガイ、ってねー。
でも、せっかくだから生まれたてホヤホヤの蒼空君と超頑張った本日のMVPのハルカの記念写真は欲しいよね、写りがどうとか気にしてる場合じゃないっしょ…撮っちゃお!
スマホをふたりに向けてカシャカシャと音を立て連写したら、むっとした顔のハルカに『撮るなっつってんだろーが!』って怒られちゃった。
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ハルカや子供に処置をしているうちにさっさと身内に連絡を済ませた。それから流石にハルカも怒るだろうし、生まれたての蒼空のみが画面に映る画像を添えて傑や硝子、恵たちにも生まれたよって報告を欠かさない、スパダリな僕。
ハルカの親父さんや傑、硝子が急いで駆けつけるって返事を確認して。部屋番号を送り返した所で処置を終わらせ、入院してる個室へと戻ったハルカ。
……それから今日が誕生日となった、五条蒼空君がハルカの側に並んで横になってる。
「……お疲れ様」
そっとハルカの側に行けば先程までよりも回復してきた彼女の元気。ただ疲れた後って事もあり眠そうだなあ……。ゆっくりと上半身を起こしてにこ、と彼女は笑って、横に寝かせられた僕らの子供を見てる。
『ん…、マジで疲れた。けど』
ふわふわのタオルに包まれ、しゃくりあげる僕たちの子供。じっと僕の拳よりも一回り小さな頭を見るハルカが小さく笑ってる。
『その疲れが吹っ飛ぶくらいに嬉しいね……。特に身体に異常もなく、大きな声で泣いてさ。元気に産まれて来てくれたんだ…』
「うん。元気な産声だったねー……、流石僕とオマエの子。
元気に産んでくれてありがとね、ハルカ。本当に、本当にお疲れ様」