第32章 御三家
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このホームルームが終わってしまえば学生としての登校は休みとなるけれど……。
一年の間に慣れたであろう呪術師の卵である私含む四人。明日からは任務がなければ基本は休み、私以外の三名は青春の数ページを作っていくってわけだ。
けれどもこの春休みという学生達のハッピーホリデーな期間も呪いによる被害は多く、新学期までの間は基本皆には長期休暇にはもれなく任務がねじ込まれてくる、というわけ。座学が無い、いつも通りみたいなもの。今日先輩達にすれ違う際、パンダに「休みだからってゴロゴロして体力落とすんじゃねーぞ」とアドバイスを頂いた。
……呪術高専、学生もブラックなんだなあ。命に関わるから筋力が落ちてしまえば戦力は低下…確かに怠けてちゃ死ぬ。生きるなら常日頃の鍛錬が欠かせないね。他人事じゃないんだけれどさ。
今日までの教材などの荷物をバッグに詰め込み終わり、最後のホームルームが始まった。
やはり悟は三分遅刻してきた、最後まで時間にルーズ過ぎる担任だったよ…。
黒板に背を預け、腕を組んでる担任。多分無限でどうこうしてるから背中は汚していないんだと思うけれど……。
「てなわけでこれでハルカは学生から社会人に戻るってわけだけどさ。
数年ぶりの学生生活ってか呪術高専生活……どうだった?担任としてキミにインタビューしたいな~!」
にこ、と笑いながら聞いてきてこの一年以内を思い出す。
一年も居ないし、なんならリベルタに拐われたり、死んだり、春日出身って事もあって任務に行けずお留守番って時もあった、空白の多い学生生活。決して皆勤賞とか頑張った方じゃない。ましてや成績が優秀ってものじゃない、学生としての評価は普通だったと思うけど、私なりに真剣に授業に取り組んできたつもり……数学以外!!
カワグチ組は……あれは学生の休みの中での出来事だったか。それは除外して…いや、除外出来ないけれどさ?
短い間で呪術や体術、実戦など多くを学べたし、新しい道を探せたと思ってる。この僅かな期間に学んだ事はきっと、これからの呪術師としての基礎になるんだ。普通の非術師には学べない知識は体に刻まれている。足らない知識や技術部分はこれからの人生、一緒に歩んでいく悟から直接か、本で自分で積み重ねていくしか無いけれど、また学生として復帰だとかタイミングを考えたら無理。お腹に子供も居るしさ。
