第32章 御三家
「やだぁちょっとぉ、男子ぃ~!朝からエッチな本囲んでなにしてんの、きゃー!めぐみちゃんのえっち!やだあ、あんなトコロ舐めてる写真がデカデカと出てるじゃない!」
何故か突然私の視界を塞がれる。背後からだし悟の手なのは丸わかりで、その手を掴んで下ろした。
視界が戻れば椅子に座ったすっごい迷惑そうな顔をした伏黒が私の更に後ろを見てる。
チッ、と不機嫌そうな音が耳に届いてますが。
「ンな写真どこにあるんですか?
……はあ…、その人なんとかして貰えません?」
『私も手を焼いてるんだよねえ~……、このー、朝からエロ本見てるわけないやろがい!空気読みのアプリで空気を読む練習でもしてろ!スケベ教師がよぉ~』
肘でつん、と悟を押す。ヘラヘラしてる悟は野薔薇や虎杖、そして私と同じく机を覗き込んだ。
「いやあ、だってお年頃の男子が見てるっつったらグラビア雑誌とかじゃーん!なんで健全すぎるモン見てんの?僕がキミらの歳じゃあ朝っぱらから井上和香とか見てたよ??袋とじの入刀どっちがするの?って傑とバトルしたりさ~…
それ、えっちな雑誌の広告ページじゃないの?」
私の目が塞がれる前も、手を離された後も雑誌に印刷されたものは美味しそうな料理の写真。広告ってワケでもなさそうで。
「……俺達、先生とは違うんでンなもの学びの場で見ないですよ」
「伏黒、その俺達から虎杖は除きなさい、コイツの部屋ポスター貼ってるし」
「ええーっ!?釘崎サン?なんで俺だけ省くんです~?ジェニファー・ローレンスはいいだろっ!なっ!?」
虎杖が釘崎に問い詰める中、伏黒が開いた雑誌を一ページ進める。そこには一面に肉料理の特集が載ってる、明らかにいかがわしいものではない雑誌。
悟や傑がかつてしていた行動とは違い、朝の一年の教室で皆が見ていたのは都内のグルメ雑誌。
欲は欲でも食欲、の本。悟は「ちぇー」っと口を尖らせつまらなさそうに、教卓へと私達から離れていった。