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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第32章 御三家


ドタドタ駆けてくる彼は私の手を掴み引き寄せて、なだれ込むように唇を塞ぐ。勢いが良く、ガチ、と歯が当たって少し不愉快で。
視界一杯に彼のアイマスク。私みたいに目を開けてるのか、それとも閉じてるのか。分からないけれど生徒と教師としての最後の行ってきます、のキスは何度か唇を食み、手首を掴まれたまま悟の胸元を押した所で名残惜しそうに唇が離れていって終わった。
それでも離さない私の手首。機嫌がとても良さそうに靴を履いた悟は私を引いて部屋から出る。手を掴んだまま施錠をしてる彼。

「最初から僕のクラスに居たわけじゃないけれどさ~…一年ってあっという間ね」

がちゃん、と鍵が締まり、部屋の鍵にぶら下がる前撮りのふたり並んだアクリルキーホルダーの付いた鍵束をポケットへとしまいこんでる。

……前から思ってたけど、鍵とか携帯とかお菓子とか……封印された呪物とか。大して膨らんでいないように見えてたくさん入ってるけれどそのポケットどうなってんだろ?四次元ポケットか?さっきもお菓子入れてたしさあ…。
歩き出したからよそ見は危ないので私も前を見て、少し早足で校舎へと向かっている私達。生徒が少ないせいもあり、前後を見ても私達しかいなくて、二人分の足音だけが周囲に響く。

定刻まで時間は十分を切ってる。歩きでもまあ…間に合うだろうけれど気が気じゃない。
ゆとりある速度で(悲しいかな、その歩幅は隣で歩く私にとって速歩きになるんですよね~…)進む悟。やや鼻歌交じりでいつもよりも確かにご機嫌である表情を見上げた。

『あの、私急ぎたいからさー、走っても良いかな?』
「駄目ですともー!」
『アイエー!?ナンデ?』

即答でダメ出しされた。不服なんですけど、とややふざけ気味の悟を見上げつつ。それでも目的地である教室へと進める足は私達は止めない。

『否定的タモさんか。
えー、ギリギリ登校~?教師たるもの、社会人として生徒の鑑になるようにしなきゃ、じゃね?皆とのんびりとダベりたかったのにな~、最後くらいクラスメイトとして過ごす時間を増やしたかったなー!』
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