第22章 キミは蜘蛛の巣に掛かった蝶
あざとくもきゅるるん、といいそうな上目遣いで甘える悟。ただ、ご飯だけって目的じゃないのは誰にだって分かる。我慢が出来ないのも…。
こうして約束を守って一日おきに会いに来るのは良いけれど、学校生活初日で生理来てたからえっちをしてない。今日は出来る日だよね?って、事前に悟からメッセージも来てた。だからってさ、朝っぱらから早く来て、寝起きからやるなんて思わないじゃない?どんだけがっついてんねん。アブドゥルの飼ってる鶏かよ。
一日の始まりにしてはあまりの性欲の強さに顔をしかめちゃった。
『……げえっ、マジで言ってんの?』
「マジ。大マジ。マジラでマジガ」
『ブリザラ、ブリザガ感覚で言ってんじゃねえぞ?』
人差し指を出して真剣な顔をして言ってる悟。なんつーことに真剣になってんの!真剣な顔になればイケメンであるこの人。顔の無駄遣いだよ…。頭をガシガシを私は掻いた。
『あーもー、朝だよ?朝起きて速攻?私昨日はしゃいで飲みまくってたからのんびりした朝を過ごしたかったんだけど?』
……あと一時間くらい寝た後にゆっくりと朝の支度でもしたかったって所。上体を起こした私の目の前に居る悟はゆっくりと首を横に振る。そして「ざまあー」とか言ってる。ムキーむかつく!
「人間の三大欲求は満たしてかないといけないだろ?お腹が減ったら食欲を満たす!ついでにキッチンで性的にも満たす!たくさんの運動して疲れたらベッドで寝る!全てが満たされるとは思わんかね?」
『思わねえよ?』
どういう思考回路だよ?と首を傾げつつにっこにこな彼の顔を覗き込む。ふざけた事を真実であると言わんばかりに言ってのけてるけど、ただ単に悟が腹減ってるから朝食摂ってやろうってだけじゃねえか。
「だから今から始めるよっ!」
ウインクをしながらにビッ!と力強いサムズアップを決める悟。
あれ?のんびりとした私の休日の予定はこうして始まるの…?拒否権は無いらしく、下着だとか寝間着は遠くにぽい、と投げられてた。
『私の休みがーっ!』