【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第26章 執着
「グレイス、すまないが少し奥へと詰めてくれないか」
「いいけど…え、隣座るの?」
食後のデザート類の提供を頼んだ後、イグニスが腰を上げ、そのまま私の隣へと座り直した。
席は二人がけのソファが向き合って配置されていて、元々はそれに一人ずつ対面になるように座っていたのに、どういう訳か今は片側一つのソファに二人並んで座る形になっている。
この座り方…なんだかちょっと恥ずかしいんだけど…。
「ねぇ、何でこんなこと…」
「すぐにわかる」
どうも落ち着かなくてイグニスの身体に隠れるように座っていると、間もなくして例の女性店員さんの声が聞こえてきた。
「お待たせ致しまし、た…!?」
その声は後半になる程、明らかに動揺で上ずっているのがわかる。
極めつけに
「あぁ、そのデザートはこちらに…オレの大切な女性の前へ置いてくれ」
グイ、と私の肩を抱き寄せてそう告げたのだ。
かしこまりました…、と答えた彼女の声は震えていた。
彼の腕に抱かれて視界が遮られていたので、気配で彼女が去っていくのを静かに待った。
「さぁ、いただくとするか」
その平然とした声に驚き顔を上げ、思わず真意を問いただす。
「ちょっと、こんな人前で何考えてるの」
「大切な女性の心の憂いは払っておかなければな」
そう言って、何てことないように笑う。
見せつけるように牽制してくれたのは嬉しいけれど、でも立場的にバレたら良くないという相反する気持ちが頭の中でごちゃごちゃして上手く言葉を返せないでいるとそれを察したかのようにイグニスは答えた。
「心配いらない。あんな嫉妬に染まった目では何も気付けはしない」