【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
献立の意図を聞いたイグニスはとても嬉しそうに頬を緩ませて食事に口をつけた。
何度も「美味い」と言葉にして箸を進めてくれる様子には、私までとても満たされる気持ちがした。
昔からいつもいつも愛情を与えてくれてばかりいたイグニス。
そんな優しくて愛情深い彼のことがもちろん大好きだけれど、たまにはこうして与えられる側になったら良い。
そして今、幸せそうに微笑む彼の顔を見て、与える側も幸せなのだと気付かせてくれた。
灰かぶりの少女をお姫様に変身させてあげた魔法使いもこんな気持ちだったのかな? なんて久しぶりに大好きな絵本のワンシーンを思い出した。
そんなことを考えていたら、多めに用意していたおかずもイグニスがぜーんぶ綺麗に食べきってくれていた。
「グレイス、ご馳走様。せめて片付けくらいはオレに任せてくれ」
「え、ううん本当にやらなくていいんだよ」
動き出したイグニスを止めたものの、何だかんだで結局一緒にキッチンに立ってしまった。気持ちはとても嬉しいけどね。
片付けが終わって時計を見ると、時刻は21時を過ぎた頃だった。
「もうこんな時間か、グレイスと一緒にいると時間があっという間だな。オレはそろそろ帰ると…」
「待って」
キッチンのタオルで手を拭いているイグニスのシャツをクイ、と引いて言葉を挟む。
「ん…? どうかしたか?」
言葉を途中で遮られたのにも関わらず、身体をこちらに向き直して優しい顔で言葉を待ってくれるイグニスに、意を決して言葉を続けた。
「帰らないで、まだ一緒にいたい。
…泊まっていって」
「な…。いや…グレイス、それは…」
「何も特別なことはしなくて良いの。ただ一緒に添い寝してくれたらそれで良い。二人の時間をもっと取りたいの」