【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
「あ、あぁ…そうか。まぁ…それなら」
「本当? 良かった、ありがとう! じゃあ今お風呂にお湯入れてくるね」
嬉しそうに浴室の方へ小走りに向かうグレイスの後ろ姿を見送り、オレは最後の一線を越える行為を強請られたのかと勘違いして狼狽えた自分を恥じた。
(はは…つい先月まで愛撫さえ知らなかったグレイスがそんなこと言うはずもないか)
一瞬浮足立った自分の心を静めていると、グレイスが紙袋を持ってリビングへと戻ってきた。
「あの…イグニス、これ着替え…良かったら使って?」
「用意、してくれていたのか」
ほんのりと頬を赤らめながら頷くグレイス。
予め用意してくれていたということは、少なくとも数日前からこの日、このデートを楽しみにして、その後ももっとオレと長く一緒にいたいと考えてくれていたグレイスの気持ちを想像するとじわじわと胸が熱くなる。
「サイズ、わからなくてとりあえずL買ったけど…もしかしたらズボンの丈、短いかも…ごめんね?」
「あぁ、そんなこと。部屋着の丈が多少短かろうが何の問題もない。グレイス、ありがとう」
紙袋の中を見ると、部屋着の上下セットの他に、下着類まで入っていた。
丈のことは、昼間の店頭での試着を思い出して心配しているのだろうが、そんなことよりもグレイスがオレのことを考えながらこれらの衣類を選んできてくれたことが嬉しくてたまらなかった。
グレイスを愛しく想う気持ちが大きく高揚するものの、求められているのは添い寝だけ。
無論、愛しい女性の体温を感じながら眠ることを許されるのはグレイスからの信頼あってこそでとても光栄なことなのだが…果たしてオレはちゃんと寝付けるのだろうかと一抹の不安が過った。