【FF15】 同じ夢を、あなたと (イグニス・R18)
第24章 カレシとカノジョ
恥ずかしさいっぱい、気まずさ胸いっぱいで、一体どんな顔してイグニスがいるリビングで過ごせばいいのか頭を悩ませながらドアを開けると、キッチンからふんわりと紅茶の良い匂いが漂ってきた。
「戻ったかグレイス。今紅茶を淹れたところなんだ、一緒にどうだ」
「あ…、うん。ありがとう。いただくよ」
そう言って、何事もなかったかのように二人分のティーカップを持ってソファー前のローテーブルへと運んでくれた。
隣同士に座ってそれに口をつければ、お砂糖とミルクの入った温かくて甘い紅茶が先程瞬間的な脱力をした身体に沁みる。
「おいしい…」
そう一言呟けば、イグニスは「そうか。それは良かった」と何事もないかのように答えた。優雅に組まれた長い脚の上に手を置きながら。
まるで『別に普通だが』とでも言うように。
私がリビングに戻ってくる前に紅茶を淹れてくれたのも、きっと気まずくならないよう普段通りの話のきっかけを作る為。
何も言わずとも甘い紅茶にしてくれたのも、きっと先の行為で疲れた私の為。
全部彼のリード。全部彼のペース。さっきの寝室での行為もそう。
だけど少しも嫌じゃない。
だって全ての行動に私への愛情を感じられるから。
「イグニス」
「なんだ?」
「…好き」
「あぁ、オレもだ」
どちらからともなく身体を寄せ合い、唇を重ねた。
本来エボニーコーヒーが好きな彼の紅茶には甘さを加えるものは何も入っておらず、自分の口中の味と対称的なそれは苦味を伴って、いつも以上に絡まる舌の存在感を際立たせた。