第2章 反論さえ呑み込んで
何かが美穂子の視線を覆うように一瞬で暗くなった。
「ちょ…な、何!?」
びっくりして振り返ろうとすると、ぎゅーっと抱きしめてくる一護に、美穂子は目をぱちくりした。
「えっと…一護?」
「ダメだ」
「は?」
「んな格好で、外出るなんてダメに決まってんだろ」
一護の眉がぎゅーっといつもにも増して寄っている。
美穂子は思わず、笑った。
「あ、あはは!何、その不機嫌そうな…っ」
「うるせぇ!しょーがねーだろ!?」
ゲラゲラとらしくなく笑う美穂子に、一護の顔は真っ赤に染まって、そっぽを向いた。
誰だって自分の大切な恋人とも言える存在が、セクシーな服を着てどこの誰かもわからない連中の前に出ることなんて嬉しいわけがない。
一護だってそれは同じなわけで。
「つーか、ありえねぇだろ。これは」
「あはは…って、え!ちょ…っどこ触って///」
「見ろ。簡単にこうやって触れるんだぞ」
「だ、だからって手を突っ込まないで…っ///」
じたばたと足掻く美穂子に、一護は少し強引に顔を自分のほうに向ける。
「いち…っ、んんん!?」
「……反論なんて、ゆるさねぇ」
深く唇を合わせれば、美穂子の吐息は甘く熱くなる。
何度も、何度も。
一護は美穂子の唇を追いかける。
「美穂子は俺のもんだろ?ずっと」
「いち…ご」
「んな姿、他の連中に見せるなんて…許さねぇ」
お前は俺のもの。
俺はお前のもの。
それを否定するようなこと…すんな
反論なんて受け付けねぇ
そんな言葉は―…呑み込んじまうくらい
たくさん愛してやるから。
END