• テキストサイズ

【呪術廻戦】無下限恋愛

第20章 呪胎戴天


「綾瀬!!」


 伏黒くんは宿儺に掴まれて動けずにいる。


「やめろ……綾瀬……頼む、頼むから……やめて、くれ」


 私のことを見て、泣きそうな顔してる。


「伏黒くん」


 そんな悲しい顔、しないでよ。


「嫌だ……喋んな、やめろ……」


 私は伏黒くんが呆れたように笑ってる顔が好きだったよ。


「虎杖くんが戻るまで……絶対、死なないでね」


 私が言っても、まるで説得力がないんだけど。

 みんなのおかげで笑えたから。

 きっと傑さんの前でも笑えるの。

 もう、悔いは……ない。


「玉響(たまゆら)!」


 その呪文に導かれて、私の血で描かれた羅針盤が紅く光る。

 光が強くなればなるほど、私の身体からどんどん血が流れていく。

 虎杖くんの――宿儺の呪力だけを残して。

 私の身体から、すべて流れていく。

 視界がどんどん、霞んでいく。





『皆実』





 これが走馬灯ってやつかな。

 五条先生の顔が、脳裏に浮かぶ。

 こんな私の妄想に、現れるくらいなら……助けに来てよ、バカ。

 ほんと、バカ。


(私の……バカ)


 悔いがないなんて、自分に言い聞かせた嘘のくせに。


「伏黒くん」


 もう、伏黒くんがどんな顔してるのかも、分かんないの。

 だから、ごめんね。

 これだけは、お願い。


「五条先生を、よろしくね」


 そう告げてすぐ、私の視界が暗転した。
/ 612ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp