第4章 新たな門出
部屋の影から赤い目を覗かせ、様子を伺っていたであろうそれは、ズズズと影から姿を現した。
「ゲンガー・・・俺の弟のポケモンがぶつかって受け止めてくれたって聞いたよ。彼女に怪我をさせてすまない・・・」
もう少しでに触れそうになった手を、ダンデは元の位置に戻し、体をゲンガーの方に向け、片足を床についた。
「ゲン」
目線をゲンガーに合わせると、ゲンガーは一言鳴いてうなずいた。
そしてダンデの方に近寄り、ジーッとダンデの顔を覗き込んだ。
(・・・俺の顔に何かついてるのかな?)
自分を観察してるような気はしたが、ダンデは快くゲンガーの好きにさせた。ゲンガーもダンデが自分に微笑んでいるのがわかると、安心したのか、ニッコリと笑顔をみせた。
しかしすぐにニヤニヤしたような顔をし、ダンデの横に並んだと思えば、肘でダンデを突き出した。
「ゲン〜、ゲンゲン〜」
「お前・・・フレンドリーなんだな!俺はダンデだ、よろしくな」
「ゲ、ゲン・・・」
違うそうじゃない、と言いたげなゲンガーだったが、ダンデーに握手を求められ、仕方なくそれに応じたゲンガーだった。
・・・
部屋が少し煩かったのか、ベットにもたれかかるように眠っていたホップが目を覚まし、急に現れた自分の兄に素っ頓狂な声をあげた。
「うわっ!!!兄貴?!帰ってきてたのか!?」
「ただいま、ホップ。たまたま仕事がキャンセルになってな。長くいれないが、明日の朝までなら大丈夫だ」
「そっか!また兄貴の話聞かせてくれよ!!」
「もちろん。そういえば母さんがもう少しで夕飯ができるって言ってたから、そのあとでもいいか?」
「全っ然大丈夫!」
ニカっと本当に嬉しそうにホップは笑った。
しかし「あ、」と思い出したように、ダンデのベットに寝かされているを見たホップは、サッと顔色が悪くなり、ダンデの顔を見ないように下に俯いた。
「俺・・・今日ウールーと遊んでて、それで転がったウールーをこの人にぶつけちゃって・・・」
「・・・そうだな、悪いことをした」
ダンデがそう言い切ると、ホップはさらにギュッと唇を噛みしめた。
ダンデは、ホップの顔は見えないが、すごく反省しているのと、罪悪感を感じていることがすぐわかった。