第4章 新たな門出
ダンデは夕飯より少し早め時間に、家から少し離れたブラッシータウンでタクシーから降りた。もとより人気が少ないこの町では、夕飯前ともなるともっと人は少なくなる。
誰もいない駅前に降りたったダンデは、すぐにリザードンをボールから出し、家までの案内を頼んだ。
懐かしい風景を、リザードンとゆっくり歩いて進んでいけば、丘を登った先にある大きな家が見えて、ダンデは心なしか足が浮きだったような気分がした。
家に着くと、待ってましたと言わんばかりに母親からの熱い抱擁がダンデを待っていた。
「お帰りなさい、ダンデ!」
「ただいま、母さん。相変わらず元気そうでよかった」
「あなたも忙しそうだけど、顔を見せにきてくれただけで嬉しいわ」
嬉しそうな母の姿を見たダンデは、やはり帰ってきて良かったと思った。
しかし、母と玄関で話しているとはいえ、いつもならどこからでも飛んでくるはずのホップの姿が見えず、ダンデは不思議そうに周りを探した。
その様子を見た母親が、困ったように話し出した。
「実はあなたの電話をもらう少し前なんだけど・・・」
・・・
母親からあらかたの話を聞いたダンデは、ホップと気を失っているトレーナーの寝室代わりに使われた自分の部屋に向かった。
自分の部屋の前まで来ると、ダンデはソッとドアを静かに開け、仲を伺った。夕暮れのオレンジ色の光が部屋を照らしていて、ベットの方に視線を向ければ、ベッドのそばに座り、よく見知った弟の背中が見えた。
もう一つは自分のベットに寝かされ、規則正しく息をしているのが伺えた。
ダンデは忍足で二人に近づくと、ホップはベットにもたれて眠っていた。
母親から、面倒を見ていると聞いていたが、どうやら疲れて眠ってしまったようだ。
そして自分のベットを使っているトレーナーに目を向けると、ダンデは一瞬息が止まった。
「・・・、」
自然と足がベットに向かい、いまだ深い眠りについているを上から見下ろした。
そして手がの頰にゆっくりと触れた。
と、思った。触れる直前、ダンデはに触れるのをやめ、真横から感じる視線に顔をむけた。
「・・・君は、彼女の手持ちかな?」
「・・・」
いつからいたのか、さっき現れたのかわからないが、ダンデはずっとそれに見られていたと思った。