第4章 新たな門出
両親のことをぼんやり思い出していると、道の先からポケモンの声が真っ直ぐこちらに向かってくるのが聞こえ、は顔をあげた。
すると、白い塊がゴロゴロと坂を転がり、こちらに向かってきた。
「グメェェェェェェエ!」
「え?!えぇ!?ええええええええええええぐぅえ"っ!!!!」
白い塊は思ったより早く、は避けることもできず、そのまま白い塊を真正面から受け止め後ろに飛ばされた。が、勢いで白い塊を両腕で抱き込んだ。
(な、な、何事〜〜〜?!?!)
いきなりのことに混乱する頭と、後ろへ倒れ込んだせいもあり、はチカチカする視界を白い塊にむけた。
「・・・モコ、モコ・・・」
そして遠くから聞こえる声がどんどん遠のいていき、はそのまま意識を手放した。
「大丈夫か!お姉さん、しっかりしてくれー!!!」
白い塊の跡を追ってきた少年は、道端で倒れていると、その腕の中にいるウールーを見つけて、大騒ぎで近寄った。
地面に膝をつき、少し揺すってみるが反応はなく、変わりにの体に乗り上げているウールーが悲しそうに「グメェ」と鳴いた。
しばらく経ってもの意識は戻らず、少年の目には涙が溜まり始め、どうしようかと困り果てた。
その時、の腰につけてあるモンスターボールの一つがカタカタ揺れだし、ポカンっと外に飛び出してきた。
「ゲンゲロゲーン!」
「うわっ!?ゲンガーが出たぞ!」
ゲンガーは出てすぐに周りを見回すと、倒れている主と、その側で今にも泣きそうな少年を見てギョッと目を大きく開いて驚いた。
「ゲン?!」
「お姉さんのゲンガー・・・お、俺どうしよう・・・お姉さん起きないんだぞ・・・」
「ゲーン?」
ゲンガーは道で気を失っている主をジッと見つめると、ポンっと少年の肩に手を置いて、サムズアップをして見せた。
「ゲンゲン!」
「だっ、大丈夫って、言ってくれるのか・・・?」
「ゲン!」
「ん・・・ありがとうな」
両腕で目を擦る少年と、その少年を心配したウールーがの上から降り、心配そうに少年の顔を伺っていた。