第4章 新たな門出
「おばあさまからは、あなたのポケモン図鑑を見てほしいと伺ってるんですが、見せてもらってもいいですか?」
「はい、これなんですが・・・」
「・・・随分古いタイプの図鑑ですね・・・」
「もう10年くらい使ってます。愛着があってずっと使い続けてたんですけど、もう音声も画面も悪くて・・・オーキド博士がもしかしたらって、ここを紹介してくれたんです」
「お、オーキド博士?!あの世界で初めてポケモン図鑑を作ったあの?!?!じゃ、じゃあこれはまさか初代ポケモン図鑑・・・!?」
オーキドと名前を出すと、ソニアは目を大きく見開いて、渡されたポケモン図鑑をマジマジと見始めた。
「すごい!まさか初代をこの目で拝めるなんて・・・!」
「ボロボロでお恥ずかしいです///」
ソニアが図鑑を開けて確認すると、押したボタンはやっぱりボロボロの音声が流れるばかりで、その役目を果たすのが困難だった。
「古いのもそうなですけど、他の地方の図鑑も無理やり入れたせいもあってこの様です・・・」
「・・・かなり無理させましたね」
「でもこの図鑑で旅をしたかったんです。この図鑑だけ家に置いていくのがなんか嫌で・・・」
「思い入れがあるんですね」
はコクリと頷くと、ソニアの手にある図鑑を思い出深そうに見ながら話し始めた。
「博士が一生をかけて作った図鑑だから、ずっと使いたいなって。この図鑑で全てのポケモンを見てやるって、そんなこと思ったりした時もありました・・・ソニアさん、もし修理が無理ならはっきりおっしゃってください。もう限界なのはわかってます」
仕方がないがしょうがないことだ、とは割り切っていた。
しかしソニアは、が本当に図鑑を大切そうに、労わるように見ていることに気がついた。
(この人・・・ものを大事にする人なんだな)
自分の手に収まる図鑑を、ソニアはもう一度見た。
(こんなに大事にそれて、きっとオーキド博士も嬉しかったはず。何より、私もいつかここを訪れる子供たちに図鑑を渡すかもしれない!その子たちが、ずっと図鑑を大切に使ってくれてると思うと・・・・・・)
ソニアは決心した。