第15章 真夜中の開幕劇
「とにかくを見つけ次第、安心させるべき…と言いたい所ですが、お前やダンデを振り切って逃げるくらいです。多少強引でも捕まえて落ち着かせるしかない…」
「それは、アイツが仮面を被ってないって話だよな」
ネズはキバナの問い頷いた。
「話を聞く限り、コイツの兄があっさりと引き下がる訳がない。警戒はしててもいいと思います」
「だが既にソイツの手にかかって、仮面をつけられていたら…」
「ちゃんに勝つしかなイ、それか隙をついて仮面を取るカ----ま、どっちもかなり難しいけどネ」
「けどやるしかねぇんだろ、早速再戦で面白くなってきたぜ」
キバナはバシッと握った拳を自分の掌に収めると、ニッと笑った。ネズはやれやれと思いつつも、気持ちはキバナと同じだった。
「負けっぱなしは性に合いません」
意気投合したキバナとネズを、エメットは面白くなさそうな目で見ていた。しかしエメットの不安の種は、この会話に入っていない、眠っているダンデの存在だ。
兄のインゴからを一度救い出し、にまたバトルの楽しさを思い出させた人物でもある。今は眠っているが、どうにも不安が取り除けないでいた。
城の個室で話をしていた時も、誰よりも話を真剣聞き、感情を荒げることがなかった男。
何より、が強いトレーナーであると見抜く鋭い感覚も恐ろしいものだ。
(このまま眠っててくれないカナ----できれば、ずっと)
「…まだかよバウタウンは…ここで見失ったらマジで見失うぜ」
どんなにを止めたくても、四人はまだバウタウンに向かう途中であった。を見失ってから三十分以上も経っている以上、見つけるのはかなりの困難だ。
「手は既に打ってあります----彼らが上手く足止めをしてくれているといいんですが…」
「足止めってお前…俺ら以外に誰が」
「…手配したのは俺じゃねぇですが、先に向かったのは俺たちのよく知ってる奴らですよ」