第15章 真夜中の開幕劇
「仮面を着けてしばらくした頃カナ?SNS上でちゃんのことが書かれてることを職員から聞いたんダ---ボクも見たけど、酷いことが書かれてたヨ。人間の闇だよネ、あーコワイ、コワイ!でも仮面をつけているチャンは、バトル以外なんのリスペクトもない子だから、それがお客さんの不満に繋がったんだと思ウ」
「…あの仮面は、どのような効果があるんです?」
「あれにはなんの効果もないヨ。デモ、ちゃんには暗示がかかってル。インゴのシャンデラの催眠術を使ってネ」
「…どんな催眠術をかけたんだよ、アイツに」
目を釣り上げたキバナが、不快な顔をして厳しくエメットに問いただした。エメットはより一層笑みを深くして答えた。
「バトル大好き人間サ、単純に言うとネ」
「それだけなら、ああはならないでしょう」
ネズが静かに言及した。
「----インゴはあるものを彼女から消したんダ----そこのガラルチャンピオンが、ちゃんに勝てた唯一の理由----なんだと思ウ?」
「…」
「…」
二人は黙りこんだ。
「『優しさ』ダヨ。ちゃんは強イ、でも優しすぎて判断が鈍る時があル---でもそれを取り除いたラ?更に強いチャンとバトルができる」
「…お前は、それ知っててお前の兄貴を止めなかったのかよ…」
「強いトレーナーと戦うコト、それはボクたちにとって生き甲斐なんダ。君だってそうじゃないのカナ?そこのチャンピオンを倒したがってるみたいだケド、すっごく弱かったら嫌だよネ?」
「ダンデは俺のライバルだ。お前達みてぇなキチガイと一緒にするんじゃねぇ!」
力強く握りしめたキバナの拳が、今にもエメットを殴りそうだった。
「落ち着いてください、キバナ」
ネズは腕を組んで、冷静にキバナを押し留めた。
「殴るなら後にしてください、今はできる限りの情報を手に入れて、対処法を考えるべきです」
「…ああ、わかった」
「え、ボク殴られちゃうノ?分かっちゃダメのところだよネ…?」
え?、え?と、エメットは顔を青くしながらネズとキバナを交互に見た。
「うわぁ…ガラル地方って紳士ヅラしたヤンキーばっかで怖いナァ…インゴ助けテ…」
「とっとと話を続けてくれます?」
特に隣に座っているがヤバい。