第8章 ジム巡り②
「負けるとわかっていても挑む愚かなお前のために、ウキウキな仲間と共に行くぜー!スパイクタウン!!」
ネズの掛け声とともに、すでに観戦席に移動していたファンたちが一斉に歓声を上げた。
「ネズさんがんばれー!」
「見せてやってください!スパイクタウンの強さ!」
明らかに今までのジム戦とは違う観客たちの応援は、まさにアウェイ感を強く感じた。もネズも指定の位置につくと、今までレフリーをしていたダンペイではなく、ネズのファンが取り行っていることに気が付いた。
「それじゃあ紹介するぜ!!今年有望と言われるジムチャレンジャーの!!!そして我らスパイクタウンのジムリーダーのネズとの公式試合を始めるっっ!!!!用意はいいですか、お二人とも?」
ノリノリのレフリーが二人に声をかけると、二人はうなずいて見せた。
「エレズン、ここで見ててね」
はエレズンを足元に置くと、腰につけてあったモンスターボールを手に取った。
(有効打のポケモンはいないけど…久しぶりに相性関係なしのバトル…負ける気はしないけど、もしもの時は…)
ギュッと手に持ったモンスターボールを握り込むと、はボールをフィールドへと投げた。
ネズも見計らってスタンドマイクから片手は離さず、下からのローアングルからボールを掘り投げた。
「みんなも名前を呼んでくれ、行くぜ!ズルズキン!威嚇だ!」
ネズはスタンドマイクを持ったまま蹴飛ばし、その勢いで一回転してマイクに向かって叫んだ。
「威嚇なら威嚇返し!ギャラドス!」
の1番手は、赤い鱗を持つギャラドスだ。ネズのズルズキンも、ギャラドスを睨みつけ、お互い唸り合っている。
「両者ともに威嚇し合っている!それでは---初めっ!!!!」
レフリーが声を張り上げて試合開始の合図をすると、とネズはすかさずポケモンに指示を送った。
「猫騙し!」
「竜の舞!」
先手はネズだった。せっかく竜の舞を初めかけていたギャラドスに、ズルズキンはパンッ!とギャラドスの顔の前で手を叩いて怯ませた。そのせいで途中まで舞っていた舞も止まり、ギャラドスはパチパチと目を瞬かせた。
「ズルズキン、砂掛け!」
「ズルウゥウ!!」
次にズルズキンは地面の砂埃をギャラドスに向かって振り上げた。