• テキストサイズ

【剣盾】君を待つ

第8章 ジム巡り②


(使う…とは、一体…)

ますます気になるような言い方をしてしまったは、ネズの痛い視線から逃れようと、目を逸らし続けた。


「(ヤバい!めっちゃ見てくるんですけどネズさん!?そんなダイマックス使わないこと気になるの?!)あ、あと個人的にローズさんが好きじゃないんです!ほら、私ってジムチャレンジ前にちょっと有名だったらしくて、多分視聴率上げようとか、もっとジムチャレンジに注目させようとか、そういうのあるじゃないですか!いやー困りますよねー!あはは…」

まさかここまでネズに興味を持たれているとは知らず、は咄嗟にネズがローズのアンチだったことを思い出し、自分も苦手なことを話した。

「…そういうことにしといてやりますよ」

ネズは仕方ないと、やっと視線を外してくれたことに、はホッとした。

(さすが剣盾で常識人と言われた男…うううさすが2番目の推し!兄貴好きです!!!(合掌))

両手でエレズンを抱いているは心の中で合掌をし、尊敬の眼差しでネズを見た。ネズは近くのファンに目配せをすると、一人のファンが頷いた。
そしてそのファンが他の中に目配せをすると、みんなすぐに理解したのか、次々にうなずいて、スタジアムのフィールドから次々と外へ出て行った。

残ったのはとネズだけで、は「あれ?」と、冷や汗をかきながらネズを見た。


「ふぅ………」

「ね、ネズ、さん…あの?」


ネズは目を閉じ息を吐いた。肌がピリピリするような感覚がして、はポカンと開けていた口を閉じた。

「…ごめん、エレズン。休むのはもうちょっと後になりそう」

「エレ?」

「はぁ…」とはため息をこぼすと、まだ目を瞑っているネズを見据えた。
するとネズは目をカッと開くと、どこに隠し持っていたか分からないマイクスタンドを、右手で後ろから引っ張り出してきた。


「俺は!スパイクタウン、ジムリーダー!悪タイプポケモンの天才。人呼んで『哀愁のネズ』!!」

まるでライブを行うかのようにネズは、さっきまで静かに話す面影は一切なくなった。むしろバトルがしたくてウズウズしているような顔になるも、は冷静に目の前のネズに集中した。
/ 449ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp