第8章 ジム巡り②
「そう、キバナよ」
「キバナ様は、ファンとして好きですよ…メロンさん?」
「ファン、ねぇ」
急に詰め寄ってきたメロンに、意地悪な視線にはドキマギしながらも、目線を逸らして答えた。
(なんかルリナの時にもこんなことが…)
すっかり体は温まっているはずなのに、は小さくブルブル震えた。は目を合わせてはいけないと、絶対にメロンを見ないように横を向いた。
(そういえばネズさんの次は……元気にしてるかな、キバナ様)
開会式以来キバナと会うことなく、気が付けば旅は2ヶ月近く経っていたことに気が付いた。最後に会った日は、気まずいダンデから隠れようとした時に庇おうとしてくれたことが昨日のように思い出せた。
(色々あったけど、頭撫でてもらえたんだよなぁ…手、大きかったなぁ…また撫でてもらえないかな、なんて///!いやいや何考えてんの私!!あーーーでもまたあのフニャってした笑顔拝みたい。でもバトルが始まると、吊り目になるキバナ様も拝めるのか///会いたいなぁキバナ様に///)
カァアアっと顔に熱がこもり始め、は両手にお湯を掬い、顔にバシャリとかけた。これ以上思い出せば、のぼせるような気がしたからだ。
体もかなり温まり、キバナのことを思い出したせいで熱すぎるくらいだった。
「メロンさん私そろそろ上がりますね、のぼせそうなので」
「ウフフ、顔真っ赤。もしかして考えちゃった、キバナのこと?」
「///!?!?か、考えてなんかっ!!!わわわ私本当にのぼせそうなので!誘ってくれてありがとうございました///!!!!」
「またお話聞かせてね♡」
は慌ただしく温泉から出ると、脱衣所へそそくさと逃げ込んだ。メロンはそんなの様子を微笑ましく見送ると、自分はもう少しだけ浸かっていこうとグッと体を伸ばした。
「いいわね、若いって!あんなに顔真っ赤にさせちゃって」
「がんばってね」と、メロンはもうここにいないにエールを送った。