第8章 ジム巡り②
「はぁぁぁぁあ…極楽//」
メロンに連れられてやってきたのは、キクルスタウンから少し離れた天然の温泉があるところだった。もちろんみんなが使えるため、水着を着ての入浴だが、足湯だけで我慢していたには水着などどうでも良かった。
「温泉はやっぱり全身浸からないと…」
「あらあら、すっかり気に入ったみたいね」
「はい!大好きです!こんな素敵な場所に連れてきてくれてありがとうございます、メロンさん!」
の隣でメロンも足を伸ばしてゆっくり湯の中でくつろいでいた。すっかり温泉でフニャッと緩んでいるは、すっかりバトルで冷えてしまった体がじんわり温まる心地よさに目を瞑っていた。
「そんなに喜んでもらえるなんて私も嬉しいよ、何かいい思い出もあるの?」
「いえ、本当に温泉に浸かるのが好きなんですけど…」
は一度言葉を切ると、思い出すように続きを話し始めた。
「私が旅を始めて1年くらい後に、幼馴染と一緒に山籠りをしたんです。その山は強いポケモンたちがいて、ずっと修行をしていました。時々その幼馴染とバトルをしたりしたんですけど、バトルの後はその山にある秘湯によく浸かってました…ちょうどこんな感じです。雪に囲まれて寒かったんですけど、本当にあの温泉は出た後もポカポカ体が暖かくて、ぐっすりよく眠れました」
「山籠りって随分思い切ったことしたわね、どうしてそんなことを?幼馴染って男の子なの?」
メロンは目をキラキラさせながらに詰め寄った。
「はい、同じ歳の男の子です。その幼馴染はちょっと無口なんですけど本当に強くて、ポケモンをすごく大事にしてる人なんです。もう十分強いのに山に籠って修行を始めた時、私ももっと強くなりたくて着いていきました」
「懐かしいなぁ…」と、はぼんやりと遠くの空を見て呟いた。メロンはの穏やかな横顔を見て頬を緩めた。
「好きなんだね、その幼馴染のこと」
「はい!すごく好きです!」
「(幼馴染止まりの好きね、これ…)じゃ、キバナは?」
「え、き、キバナ、さま…?」
ニコニコしてたは突然のメロンの質問に、ピシッと体をこわばらせた。
(あらあらあら、これは…)
ふふふとメロンは怪しく笑うと、空いていたとの距離を詰めてきた。