第8章 ジム巡り②
レフリーのダンペイが、コオリッポの様子を伺いにいくと、すぐに旗を上げて、戦闘不能と告げた。メロンはコオリッポをボールに戻すと、静かにメタグロスを見た。
「…自分で来るように言ったのに、こんなやられっぱなしじゃジムトレーナーたちに面目ないよ…でも、たとえ一欠片でも氷は氷!見てなさい!」
コオリッポのボールを腰に付け直し、もう一つのボールを手に取ったメロンは、最後のモンスターボールをフィールドに投げた。ボールから出てきたのは、カントー地方では珍しいと言われるラプラスが出てきた。
優雅な見た目とは違い、耐久力も特殊攻撃にも優れたポケモンだ。
「さぁ、キョダイマックスなさい。あたりを全て凍りつかせるのよ」
すかさずメロンはラプラスをボールに戻すと、ダイマックスバンドが光り、ラプラスのボールが光ながら大きくなった。メロンはその大きくなったボールに顔を擦り付け、笑顔で投げつけると、何十倍にも大きくなったラプラスが出てきた。
綺麗だった鳴き声が、今では怪獣のような咆哮に変わったが、ラプラスの周りを囲む輪のようなものが、楽譜にように見えて綺麗だと思った。
しかし、ただでさえ体力が多いラプラスのキョダイマックスを相手にするのは、骨が折れる。いくらメタグロスも耐久力があると言っても、体力を2倍にされてしまえば、持ち堪えるのは難しい。
「一気に行くよ、メタグロス!アームハンマー!!!」
「メッタ!」
メタグロスは自身の硬い腕を、キョダイマックスしたラプラスに振り下ろした。効果は抜群なはずだが、巨大になったラプラスには取るに足らない程度のダメージだろう。
「キョダイセンリツ!」
すかさずメロンがラプラスに指示を送ると、巨大な氷塊が空からメタグロスに降り注いだ。最初の一つ、二つは避けれたが、数が増すとメタグロスは氷塊の山に埋もれてしまった。全ての氷塊が降り終わると、ラプラスの前に美しいオーロラのベールが浮かび上がった。フィールドはますます寒くなった。
(キョダイセンリツの効果は、このオーロラベールでダメージを半減させること…)
は寒さで悴む手をぎゅっと握りしめて叫んだ。
「メタグロス!サイコキネシスでその氷塊をラプラスにお返しだ!」
巨大な氷塊の山がガタガタと震え出した。
ミシミシと音が鳴り、砕けた小さな氷塊が中に浮き出した。
