第8章 ジム巡り②
「ッ…」
眉間に皺を寄せたハッサムは、抜けることのない自分の拳と、そこから自分の苦手な炎に焼かれて苦しそうだ。
「離れないなら…ハッサム、飛び上がって!」
ハッサムはの指示通り、ヒヒダルマを持ち上げて高く飛び上がった。
「駄目よヒヒダルマ!今すぐハッサムから離れて!」
ヒヒダルマはすぐにハッサムの拳から口を離した。重力にしたがって、ヒヒダルマは下に落ちていく。羽があるハッサムは更に浮上した。
「ハッサム、ヒヒダルマにシザークロー!!」
両の拳をクロスさせて、落ちていくヒヒダルマに向かってハッサムは下降した。
「(叩きつけられると思ったのに更にその次まで考えてるなんて…)下に向かって氷柱落とし!」
空中で落ちていくヒヒダルマに身動きが取れず、メロンは参ったと言うように苦笑いした。ハッサムのシザークロスは見事ヒヒダルマの体に直撃し、フィールドに叩きつけられたと思えた。フィールドにぶつかる直前、ヒヒダルマは口から氷柱を吐き出し、勢いを殺したが、全部の衝撃は防げず、フィールドの上を転がった。
「大丈夫、ヒヒダルマ?」
「ダル…っ」
地面に降りてきたハッサムは、片足をガックリとつけた。
「ハッサム…!」
その様子は酷く憔悴しており、噛まれた箇所は黒い煤がついていて、長く噛まれたことで大ダメージを負っているようだった。しかし、ハッサムはすぐに立ち上がると、ヒヒダルマを睨みつけた。
(ここは交代した方がいいのかもしれない…でも…)
ハッサムは一度を見て首を振って、前を見た。その強い意志を感じる瞳を見て、は震える手を誤魔化すように握りしめた。
「…次、噛まれたら交代するからね」
「ハッ!」
「わかった」と、ハッサムが行ったような気がした。