第8章 ジム巡り②
「連続でバレットパンチ!」
の指示で、ハッサムのバレットパンチがモスノウの体に打たれていった。虫と氷の複合タイプとはいえ、ハッサムのバレットパンチは鋼タイプで効果は抜群だ。
「距離をとるのよ、モスノウ!凍える風!」
なんとかハッサムの連続攻撃から抜け出したモスノウは、羽を高速に羽ばたかせ、冷たい風がハッサムを襲う。うっすらと氷がハッサムの体に張り付くが、風が止むと張り付いていた氷はすぐに溶けた。
「やっぱり鋼タイプって嫌ね。あの暑苦しい人を思い出すわ」
凍える風をものともしないハッサムに、メロンは苦笑いした。
「(暑苦しい人って…ピオニーさんのことかな…)私のハッサムは鋼タイプの技ばっかりじゃないですよ!翼で打つ!」
「ほんっとうに、あんたって容赦ない!」
メロンのモスノウが次の指示を受ける前に、ハッサムは羽ばたかせた羽をモスノウにぶつけた。モスノウは放物線をかいてメロンの前に倒れた。グルグルと目を回し、戦闘不能となった。
「モスノウ、戦闘不能!」
メロンはモスノウをモンスターボールに戻すと、次のボールに手をかけた。
「だったら次はどうかしら。次は一筋縄じゃ行かないわよ」
次にメロンが繰り出したのは、白くて大きな丸い体のガラルヒヒダルマだった。
(ヒヒダルマ…特性はダルマモード。ちょっと厄介なポケモンだけど、原種にはエスパー。こっちのは…炎タイプが追加されたはず。一気に叩かないとハッサムには厳しいかも)
「ヒヒダルマ、ハッサムに挑発!」
「挑発に乗っちゃダメ、ハッサム!」
メロンの指示で、ヒヒダルマはハッサムを挑発した。冷静に見えるハッサムも、ヒヒダルマの挑発にイラッとした表情が見てとれた。
「(これで剣の舞は使えない…)もう一回連続でバレットパンチ!」
ハッサムの両手の重い鋏がヒヒダルマを殴りつけた。モスノウの凍える風で後手に回ってはいるが、以前タイプの相性はハッサムの方が上である。ハッサムの大きく振りかぶったバレットパンチを、メロンは見逃さずヒヒダルマに指示を飛ばした。
「炎の牙!」
突然ヒヒダルマの大きな口が開き、バレットパンチを打とうとしたハッサムの拳を、燃える牙で受け止めた。
「しまっ…ハッサム!振り解いて!!」
引き抜こうとするが、ヒヒダルマの炎の牙はハッサムの拳を離すまいとさらに力を込めた。
