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【剣盾】君を待つ

第8章 ジム巡り②


【ダンデ視点】


キバナのせいで今日の試合は中々集中して観ることが出来なかった。
そんなキバナはというと「そろそろローズさんに大事な書類とか話があるから行くわ」と言って勝手に部屋を出て行ってしまった。一緒に試合を見れたのは良かったが、今度からは一人で観ることに決めた。

「あ、そうだダンデ!またなんかあったら教えてくれよ、”ちゃん”のこと」

部屋を出る直前、思い出したようにキバナは言って去ってしまった。
何か訳あり気味な言い方に、少しムッとした。今日のテレビ鑑賞で学んだことだが、キバナにはあまりのことは伏せようと思った。焚き付けた俺のせいもあるが…何故かこれ以上キバナの口から彼女の名前が出てほしくないと感じていた。

すっかり空気を含んでパサついてしまったサンドイッチを齧った。味は悪くないが、やっぱり乾燥する前に食べるべきだった…。

『カラ返信ロト!』

俺のスマホロトムが作業テーブルから飛び上がり、俺の手に収まった。俺はサンドイッチを齧りながらの返信を見ると、ポプラさんに逆に元気をもらったと書いてあり、ホッとした。

『電話スルロト?』

返信しようかと思っていると、ロトムが急に喋り出し、「え」と声を出してしまった。

『イツモ楽シソウニ話シテルロト!』
「そ、そうか?」
『ソレニ楽シイッテ前ニ言ッテタロト』
「…よく覚えてるんだな」
『電話シタクナイロト?』
「そりゃ…したいが…バトルで疲れてるかもしれない。ゆっくり休ませてあげたい」

ジトーっと俺を見るスマホロトムを無視して、に返信のメッセージを送った。キバナのロトムほどじゃないが、俺のスマホロトムも中々のお節介だったらしい。

すっかり日が暮れて、もうすぐ夜になるそうな空を窓越しから見た。
一日でも早くチャンピオンカップが来ればいいのにと、最近俺は思う様になった。早く熱いバトルをしたい。手汗握るトレーナー同士の駆け引き、ポケモンたちの技と技のぶつかり合い。


と電話がしたかったが、どうも彼女と関わると、自分がおかしくなるのに気が付いていた。だから自分からこの前ケジメをつけたと思ったのに…。なのに次はムズムズするような、モヤモヤするような気持ちに、俺は大きなため息をついた。本当に何なんだ、これは…。
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